なんでこんなに忙しい?
アレもやらなきゃ、コレもやらなきゃ…
「なんでこんなに忙しいんだろう?」そんなことありませんか?
忙しすぎるとケアレスミスを引き起こしがちになったり、過度なストレスを感じたりとあまりいいことがありません。
「忙しくしないために」などの言葉からタイムマネジメントの手法の本がたくさんあります。為になるものも多いので一度読んでみるとおもしろいですよ!
今回はもっと根本的で好奇心しか満たされないかも…というような研究をご紹介します!
そもそも「忙しい」ってなんぞ?
「忙しい」とは非常に主観的な概念です。
同じ仕事量のものを同じ時間内にこなそうとしても人によって「忙しい」と感じる度合いは異なります。つまり、「忙しさ」は人の認知の問題なのでは?
そこで!
この「忙しさ」の認知構造モデルについて研究したのがこちらです!
産業組織における繁忙感規定要因に関する研究
この研究では会社のような産業組織内で感じられる「忙しい」はどんなことが原因になっているのかについて仮説モデルを使って研究してます。
産業組織内での「忙しさ」とは
産業組織内での「忙しさ」は単なる量だけではなく,「繁雑さ」のような質的な側面も含めることが多いということから,「多忙」ではなく「繁忙」を用いてます。ただ量が多いのではなくて同時にこなさなければならない仕事も複雑に存在しています。
みなさん、電話とメールでコミュニケーションを取りながら、資料をつくったりと当たり前のようにやってますが、これってすごい複雑な仕事なんですよ!
また、その業務の質や発生状況によって「繁忙度」の感じ方、つまり「繁忙感」が変わってきます。
「忙しさ」の要因の内訳
研究では、最初に11の直接要因を選定しています。そして、調査後の分析によって6因子を検出しました。そして、重回帰分析まですると3つの因子まで絞ることができました。
- 業務密度感
- 不能感
- 低支援性
業務密度感はその名の通り、業務の量や情報量そして切迫性に起因するものです。
不能感は、自分の能力が足りないということやその仕事を把握できるかという可視性が低いほど高まります。
低支援性は、周囲からの助けが少ない状況であるほど高まります。「自分一人でやらなきゃ」と思うほどあれこれ考えすぎて忙しくなる気がしますね。
これらが絡み合い、忙しさを作り上げていそうですね。
繁忙感影響要因構造仮説のモデル
調査結果から考えられた認知構造モデルがこちらです。
繁忙感に直接的に影響を与えるのは業務密度感で、不能感と低支援性は業務密度感を仲介して繁忙感に影響を与えています。
つまり、能力と業務が適合していないと認識すればするほど業務密度感は高まり、また、職場で支援し合えていないと認識するほど業務密度感が高まります。そして、最終的に繁忙感が高まり「忙しい」になります。
考察
ここから言えることはただ業務の物理的な量のみを減らしても、他の要因が残っていれば業務密度感は十分には改善せず、繁忙感も満足には低減しないと考えられます。
組織において従業員の繁忙感を低減するための方策は
まず、業務の物理的な量のコントロール
従業員の能力把握と業務内容の把握、そしてマッチング
業務支援の体制つくり(適切な評価システム構築など)
です。
それぞれ、業務密度感、不能感、低支援性を改善するための方策です。
個人でできることは何でしょうか。
「忙しさを軽減するためには勉強・努力をして不能感を改善しましょう!」は余りにもありきたり且つつまりません。
ここは低支援性に着目しましょう。支援を受けるためにはどうすればよいでしょうか。ただ支援を待っていてもなかなか来ないものです。こういう場合は先に余裕がある時に自分が支援に回ることです。要するに助け合いがあることによって余裕を持つことができるということです。
おこがましいかもしれないですが、支援をした際に「今度こっちが忙しいときに手伝って」とひとこと添えるだけでも変わるかもしれません。
「忙しい」を乗り越えるときは一人で抱え込まずに周りを見てみましょう!